自己紹介・研究紹介 ( 2017年12月19日 更新)
略歴
研究テーマと内容
情報通信工学に興味を持ったきっかけ
電力線通信に取り組んだきっかけ
電力線通信の問題点と現状
ホームネットワークの今後の展望と電力線通信
地域の情報化について、一言
学生さんに望むこと
高校生の研究室訪問
趣味など
略 歴

大分県安岐町出身。1985年3月 愛媛大学大学院工学研究科修士課程修了。 同年4月住友電気工業(株)入社。光LAN装置の研究開発に従事。
1991年9月愛媛大学工学部助手。2000年4月助教授、2007年4月准教授(学校教育法改正に伴う職名変更)、2019年4月教授となり現在に至る。
電力線通信(特に線路のモデル化)およびその産業応用、IoT、EMC、総務省JGN(Japan Gigabit Network)の利活用などの研究や社会実装活動に従事。
著書: 「高速電力線通信システム(PLC)とEMC、共著、オーム社、2007年11月」、「わかるディジタル電子回路(共著, 日新出版、2007年)」、「高速電力線通信のすべて、分担執筆、日経BP社、2006年7月20日」、「電力線通信システム(共著, トリケプス, 2002年)」.他1冊.
資格:第一級無線技術士(S60.3.20合格)、(第一種電気工事士試験合格)認定電気工事従事者, 第二級アマチュア無線技士、防災士、 博士(工学)

→詳細職歴

ページトップへ戻る
研究テーマと内容

IoT用通信方式とその応用研究(2020.12.14版)

  • 有線IoTはPLC(電力線通信)
    • 一線式PLC
    • コモンモードPLC技術をクレーンIoTへ適用実験
  • 無線IoTはLoRa(Long Range; LPWA(Low Power Wide Area)無線方式の一種)
    • LoRa無線の電波伝搬特性
    • 水源モニタリングシステムの構築と運用
    • 道路法面監視システムの構築と運用
    • 小型船舶衝突防止システムの開発
    • 河川水位センサシステムの構築と運用
    • CO2センサシステムの開発

マルチメディア通信を支える技術であるチャネルモデルと通信路符号化及び通信方式、またその応用としての電子通信エネルギ技術とスマートコミュニティ、に関する理論的及び実験的研究(2016.4.11版)

(650字版)
次世代ホームネットワークシステムを作ってみる

電力線通信(PLC)技術とその応用
将来どんな家に住みたいですか?安心・安全、そしてちょっと気の利いたサービスを享受したいですよね。私たちの研究室では、様々な家電機器をすべてネットワークで接続するための通信方式の研究開発を行っています。特に注目しているのは電力線通信(PLC)技術です。電力線は家庭内のどこにでもある線路ですから、電力だけでなく情報も送るPLCは、極めて合理的な方法といえます。しかし電力線は元々50/60ヘルツの電気エネルギを送るためのケーブルであるため、通信用の高周波信号の減衰が大きい、コンセントの先につながる電気機器や配線形態(長さ、分岐数)によって伝送特性が変わる、PLC信号の一部が空中に放射され既存の無線通信に障害を与える可能性がある、といった課題があります。我々のグループは、これらの諸問題に取り組み、PLCシステムの更なる高速化・高信頼化を目指しています。また、近年は地域産業振興の観点から、今治地区で作られている大型貨物船にPLCを適用するための技術開発を行っています。

低環境負荷型ホームネットワークシステム
地球温暖化問題に呼応し、直流発送電やLED照明の導入が、今後一般家庭にも進展することが見込まれています。我々のグループでは、通信システムにおける電力回生技術の創生、直流電灯線でのPLC、電磁環境に適応しながら行う通信電力制御技術を開発しています。また、それらの成果を応用したホームロボットやソーラーカーの製作を行っています。

2007.5.28

(100文字版)
携帯電話のcdmaOneやFOMAで実用化されている、スペクトル拡散技術の研究をしています。ただし、対象は携帯電話ではなくて家庭内の電灯線にデータを流して、ホームネットワークの実現を目指した研究です。

(200文字版)
将来どんな家に住みたいですか?安心・安全、そしてちょっと気の利いたサービスを享受したいですよね。私たちの研究室では、様々な家電機器をすべてネットワークで接続するための通信方式の研究開発を行っています。特に注目しているのは電力線通信技術です。電力線は家庭内のどこにでもある線路ですから、電力だけでなく情報も送ることができれば、とっても合理的です。新しい通信技術を開発し、社会に貢献したいと日々頑張っています。

(250文字版)
電力線通信技術とその応用に関する研究
スペクトル拡散技術の研究(特に拡散符号の設計, 及びネットワークアクセス手順)従来から行なっている。近年の研究対象家庭内で最もユビキタスな通信線路である電力線を使電力線通信PLC)であり,高速高信頼なホームネットワークの実現を目指している。各種センサを家中に埋め込み,ホームセキュリティライフサポートといったサービスを実現すべく取り組んでいる。また、船舶内のLANをPLCで実現するための技術開発も行っている。海上は一般住宅地に比べて周囲の電磁環境が良好であり、PLCを使ってもその環境を悪化させることなく通信容量を増大するため技術開発である。

コンピュータネットワークにおけるマルチメディアデータの実時間通信,
ユービキュタス通信環境の構築

インターネットに代表されるTCP/IPプロトコルを用いたコンピュータネットワークでは、パケットの到着時間の揺らぎがマルチメディア等のストリームデータの伝送時に問題となる。その解決方法として、音声や映像の再生アルゴリズムの開発や、QoS polisyに基づくパケット中継(ルーティング)方式の研究を行なってきた。最近は、超高速ネットワークを前提とした、DVデータ(デジタルハンディカムの動画像データ)のリアルタイム伝送装置の開発に取り組んでいる。

一方、上記ホームネットワークに関連して:家庭内で最もユービキュタスな通信線路である電力線(ウォシュレットの普及で、最近はトイレにもコンセントは必ずあります)を使って、各種センサを家中に埋め込み、ホームセキュリティ、ライフサポートといったサービスを実現すべく、ユービキュタス通信環境の構築に取り組んでいる。

ページトップへ戻る
情報通信工学に興味を持ったきっかけ
学生のころから真空管ラジオの製作やアマチュア無線に興味がありました。大学に入ったころ、ちょうど光ファイバの実用化に成功した時期で、光を使った高速通信の実現に夢を抱きました。民間企業に就職してからは、光LAN(local area network)のハードウェアの開発に携わることができ、コンピュータネットワークに興味をもつようになりました。
ページトップへ戻る
電力線通信に取り組んだきっかけ

大学に戻った時、出会った研究テーマがスペクトル拡散技術です。その当時(今もそうですが)、携帯電話用にスペクトル拡散技術の研究開発が盛んに行われていましたが、後発の私としては、キャッチアップするのは大変だろうと判断し、研究の対象を携帯電話ではなくて家庭内の電力線にしました。下記のように電力線は劣悪な伝送条件ですが、スペクトル拡散技術はそれを克服する、優れた要素技術のひとつです。

電力線は家庭内のどこにでもある線路ですから、電力供給だけでなく情報も送ることができれば、非常に合理的です。特に、家庭では、オフィスと違って、ネットワーク用の配線を新規にするのは疎まれるますし(配線するために壁に穴を開けるのはいろいろ大変)、パソコン周辺の配線がくもの巣になって掃除が大変とぼやかれることが多いはずです。電力線通信が実現できれば、新規工事は不要ですし、配線は給電用のACコードだけで済みます。このような魅力のため、従来から電力線通信の開発は行われていたのですが、なかなか実用化されませんでした。

ページトップへ戻る
電力線通信の問題点と現状

●伝送特性

電力線は、元々50/60ヘルツの電気エネルギを送るためのケーブルであり、通信用の高周波信号の減衰が大きい。コンセントの先につながる電気機器や、配線形態(長さ、分岐数)によって伝送特性が変わる。通信専用線であれば、それらは管理できるが、電力線はできない(電力線通信をするからといって、電気機器を外せないし、配線を変えることもできない)ため、設計マージンがかなり必要となる。


●ノイズ特性

コンセントの先につながる電気機器によって特性が変わる。通信専用線に比べるとノイズはかなり大きいし、管理もできない。
劣悪な伝送特性やノイズ特性に対して、スペクトル拡散やマルチキャリア変調方式(後述)が有望。


●放射電磁界

電力線通信用の高周波信号は線路に流したとき、線路に閉じ込めておくことができず、空中に放射される。その結果信号減衰量が大きいわけである。放射電力によっては、電力線通信と同じ周波数を使う無線機やラジオに障害を与える可能性がある。これを回避するには、送信電力密度をできる限り小さくすることと、電力線の伝送特性やノイズ特性を可能な限り管理する必要があります。


●アプリケーション

かつて”ニューメディア”という言葉がはやされたころ(80年代後半)、ホームオートメーション用の規格としてHBS(ホームバスシステム)が策定され、そのサブバスとして電力線通信も規格ができた(1988年)。しかし、実際にさほど普及しなかったのは、上記技術的な困難もさることながら、ホームオートメーションを導入したいという市場のニーズがまだあまりなかったことがあげられます。

しかし、この1ー2年、急激にホームネットワーク需要が高まっているのは、インターネットやパソコンの普及、地球温暖化問題対策としての省エネ意識の高揚、治安の悪化によるセキュリティシステムの需要、社会の高齢化に伴う老人介護やライフサポートに対する需要、等さまざまな要因に支えられており、今度は本物であると思っています。


●法律の規制と緩和

ホームネットワーク需要の高いアメリカでは、電力線通信で10Mbps級の通信が可能なモデム(homePlugと呼ばれる規格に準拠)が今年になってから市販されはじめました。実売価格は1台70ドル程度ですから、電話線を使ったhomePNA規格の置き換えがターゲットのようです。 homePlugは、ADSLや地上波デジタル放送で使われているマルチキャリア変調方式を採用しており、劣悪な伝送特性のうち比較的ましな帯域を選択して使用し、また無線局への電磁障害が予想される周波数帯をスキップすることが、比較的容易にできる方式です。ただし、その分、使用している周波数帯域での電力密度は高いので、それなりに電磁波を放射します。比較的法律による規制が寛容(ただし、自己責任はキツイ)なアメリカでは、製品化できましたが、わが国では法律の改正が必要です。

わが国の電波法では、10kHz〜450kHzが電力線通信に使える帯域ですが、上記のような高速通信を実現するためには、もっと広い帯域が必要です。今年の4月から7月にかけて、2MHz〜30MHzの帯域を電力線通信用に許可できるかどうかについて総務省で検討しました。その結果、アメリカ並の緩やかな規制では、短波放送、アマチュア無線、あるいは電波天文等で深刻な影響が懸念されるとして、当面は許可しないとの結論を出しています。

私を含めて、電力線通信で新しいビジネスチャンスを標榜していた人たちからみると、落胆する結果となりましたが、長い目で見ると、ここで無理して許可しなくてよかったかもしれません(そう言えるようにするために、これからが正念場です)。というのも、今許可しても、made in USAの技術がわが国の市場のおいしいところを食い荒らすだけに終わる懸念があるからです。日本の電力線事情にマッチし、かつ放射電磁障害のより少ない、優れたmade in Japanの技術を確立していく時間の猶予を頂いた、と考えています。

ただし、そうした技術を今後検討するうえでも、屋内のしかも通信範囲を数m程度に限定でいいから、実環境で実験できるような規制緩和は必要であると考えています。現状では、電波暗室内でないと開発できないという状況です。無線(RF)では電力強度によって、微弱、特定小電力、といった範疇があるのと同様です。

ページトップへ戻る
ホームネットワークの今後の展望と電力線通信

能率最優先のオフィスでのネットワークと、居住空間である家庭内のネットワークとでは、今はあまり差はありませんが、今後は異なった進化をたどると考えてます。
ホームネットワークのキーワードは”やさしさ”です。

○操作がやさしい、ネットワーク構築がやさしい
子供から老人まで簡単に操作できる・構築できる。さらなるプラクアンドプレイ化、ユニーバーサルデザイン化、あるいはアプライアンス化(機能限定、操作性重視)。ネットワークとの接続や離脱がやさしい。どの部屋でもつかえる。操作を学習しやすい。

○財布にやさしい
廉価であること。寿命が長いこと。

○環境にやさしい
省エネ(端末やネットワーク装置。ホームネットワーク導入によって省エネ効果を生み出す)。電磁環境をよりクリーンに(機器同士の誤動作防止、生態への影響)。次々と新しいハードウェアを導入しないと維持できない、というのはまずい。

○やさしいサービス
ホームセキュリティ向上による安心。老人介護やライフサポート、QoL(quality of life)向上。アミューズメントやエンターテイメント的な利用。サービスの自動発見(ディレクトリサービス)。サイバー空間と実生活空間とのマッチングが簡単。

こうしたネットワークを実現しようとすると、おのずと、ホームネットワークと称されている現在のネットワーク、つまりADSLモデムから無線あるいはイーサネットでPCを接続するネットワーク、はごく一部でしかないことに気が付きます。PCだけでなく、家中のありとあらゆる電気製品や、住宅設備(照明、給湯、ガス、水道、etc)はすべてネットワークにつながって、コントロールできたり、いろいろなサービスを提供できるようになっていく必要があります。

私事ですが、先般、ボタンひとつで風呂の湯はりと自動保温ができる給湯器を導入しました。ボタンひとつですから、送っている情報量は非常に少ないですが、ちょっとリッチな気分を味わっています。ガレージの開閉用リモコンも同じです。ホームネットワークの本質は、こうしたもので、高速の通信ができればいいといったことだけではないようです。

100ボルトのコンセントにつながっている機器は、すべて電力線通信で収容できれば、それにこしたことはないでしょうが、適材適所で、各種通信手段が住み分けていくようになることでしょう。高速な通信速度を要求する高品質動画像は光ファイバで、バッテリで動くものは無線でと、いった具合です。電力線通信でカバーできるのは、せいぜい数10Mbpsまでだろうと思っていますが、数bpsのものから数10Mbpsまでシームレスにつながることが特長といえます。

ページトップへ戻る
地域の情報化について、一言

地域の情報化関係の仕事に最近携わるようになって、以下のことを考えるようになりました。

地域の情報化ということで、情報基盤の整備(ファイバやネットワーク機器といった、いわゆる箱もの)が各所で行われており、幹線系は随分整備さえてきた感があります。これにより産業の誘致や起業に成功している例もいろいろ聞くようになりました。これからはこうしたネットワークを、どのように面で広げるかが問題です。特に経済原理ではどうにもならない地方(僻地)対策です。

電話と電気はユニバーサルサービスであり国策として、どんな田舎でも均質なサービスを受けられますが、IP網になると、まだそうした決断はできにくい状況です。インターネット電話・VoIPだけでは、単なる電話サービスの実現手段の置き換えですから、そうしたモティベーションにはなりえません。従来の電話でできなかった、かつ生活するうえで必須といえるサービスが提供できるようにならないと、ユニバーサルサービスに位置付けられないでしょう。そういう意味で、上記のホームネットワークでどんなサービスを提供するのか、ということを考えることと同じです。こうした、ボトムアップのアプローチも重要かもしれません。

ページトップへ戻る
学生さんに望むこと

学生時代に一生懸命やったことは、あとに残ります。卒業研究を私といっしょに一生懸命やってみませんか?!

ページトップへ戻る
高校生の研究室訪問

随時歓迎です。Email等で連絡してください。例はあまりないですが、遊びにきてくれた高校生がいました。ひとしきり、コンピュータやインターネットの話をして帰りました。

ページトップへ戻る
趣味など

アウトドアスポーツはいろいろやりましたが、山登りが一番性にあっていたようです。でも北アルプスで落石事故に遭遇して、足を痛めてからは、完全復帰にいたらず悶々としている今日このごろです。

ページトップへ戻る